で、今回はなにやら、ゆず大先生の出自についての理解を深めるため、「ゆずシャーマン」なる方が私を案内してくれるとのことですが……
あっ、いたいた
すみませ〜〜ん、あなたがゆずシャーマンの大川さんですかあ〜!?
大川さん:
えっ、ゆずシャーマン…? たしかに僕は大川ですが、シャーマンではなく馬路村職員ですよ。
坂口:
あれ? おかしいなあ。大川さんはゆずシャーマンだって聞いてたんですけど……
大川さん:
今日、坂口さんを案内する役を村から仰せつかったのはたしかですが…。僕がゆずシャーマンだなんて、一体誰から聞いたんですか?
坂口:
ゆずが語りかけてきたんです。
大川さん:
え?
坂口:
だからゆずが
大川さん:
え?
坂口:
あの、ゆずが私に
大川さん:
馬路・北川村には、まだまだ見所がたくさんあります!さっそく行きましょう!
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◼︎馬路村の道路脇にあったヤバい穴に入ってみる
こうして、大川さんに連れられて村を散策していると、川のほとりの道路脇に怪しげなモノを発見しました。
坂口:
あれはなんですか?
大川さん:
あれは、森林鉄道の五味隧道(ごみずいどう)の入り口です。
坂口:
森林鉄道?
森林鉄道(正式名称:魚梁瀬森林鉄道)とは、かつてこの地域を走っていた木材を運ぶための鉄道のこと。今ではすっかりゆずの産地として有名な馬路・北川村ですが、実は昭和30年頃まで、この地域の生活を支えていた主要産業はゆず栽培ではなく、林業だったのです。
当時、森林鉄道は、山奥から木材を運ぶだけでなく、人々の移動の足としても彼らの生活を支えていました。ただし切符には「木材を運ぶのがメインの電車だから、乗るのは勝手だけど命の保証はしませんよ」と注意書きがあったらしいです(意訳)。ロックですね。
しかし、昭和半ばになると輸入材木などの影響で林業は衰退し、それに代わる産業としてゆず栽培が行われるように。その変化に伴って、森林鉄道の歴史も幕を閉じたのです。
ちなみに、廃線になった森林鉄道の軌道が、今ではゆず畑の広がる光景に変化した歴史は「ゆずロード」と名付けられ、文化庁が認定する「日本文化遺産」に登録されたとのこと。
日本有数のゆずの産地に、そんな歴史の変遷があったんですね〜。
・・・で。
坂口:
森林鉄道は分かったんですけど、五味隧道…エ…?
大川さん:
隧道(ずいどう)とはトンネルのことです。この入り口は森林鉄道がかつて通っていたトンネルの天井につながっているんですよ。入って確かめてみますか?
坂口:
え、入れるんですか?
大川さん:ええ。見た目が見た目だから、入っていいってあんまり分からないんですけどね(笑)。実はここ、観光に来た方も自由に出入りしていいことになってるんですよ。ほら、こうやって…
ギ・・・
ギギィ・・・
絶対入っちゃダメなやつでしょこれ
※本当に入って大丈夫だそうです(ちゃんとしたところに確認済み)
むしろ「入っていい」って村から太鼓判押されたとしても入るの勇気いるわ。
と言いながら階段をおそるおそる下ると……
お・・
おおおお・・・・!
思いのほか綺麗な光景が広がっていました。
ていうかめっちゃ雰囲気あってテンション上がります。入るときはちょっと勇気がいるものの、見つけたらぜひ勇気を持って入ってみるべし。
やっぱり不安という方は、川の反対側に観光案内所の「まかいちょって家」があるので、そこの方に「あそこって本当に入っていいんですか?」と聞いてみましょう(笑)。
◼︎森林鉄道の歴史を再現したアクティビティで楽しんでみる
先ほどお伝えした通り、森林鉄道はすでに廃線になっていますが、観光用に復活した2/3サイズのモデルが、馬路温泉の目の前で土日祝日に走っています(乗車料金:大人400円、子ども300円)。
約10分ほど、穏やかな渓流の景色の中をゆっくり走るという、子どもさんが大喜びするやつですね。
北のほうの魚梁瀬(やなせ)地区には、これよりもう少し本格的な再現モデルがあるそうなので、時間があれば足を伸ばしてみるとより楽しめるかもしれません。
さらに、森林鉄道乗り場の隣には、斜面を登るケーブルカー「インクライン」があり、観光用として乗車が可能(乗車料金:大人400円、子ども300円)。
こちらの乗り物も、林業が盛んだったころには、斜面で木材を運ぶための道具として利用されていたものだとか。
下から真上を見ると、結構な急角度です。
乗車すると、ジャボボボボ…と音がするので何かと思って運転手さんに尋ねると、「この乗り物の動力源は、水ながよ」とのこと。
躯体に備え付けられたタンクから水を抜くことで、重さが軽くなり、上に登っていくのだとか。反対に、降りるときはもう一度このタンクに水を注ぐことで、その重みで下ることができるのだそうです。
写真は下りのときなので、水が注がれている様子です。
こんなエコなシステムで、大きな乗り物が上がったり下がったりするなんて面白いですよね。
登りきった先には展望台があり、馬路村を一望することができます。
インクラインを登りきった先には、遊歩道…いや、トレッキングコースがあります。
インクラインは、1乗車の料金で往復分乗車が可能ですが、希望者はそのまま奥に続く遊歩道を歩いて山を下ることも可能です。
この日は大川さんが「遊歩道を歩いて行きましょう」とゴリ押しするので、のんびり歩けるならまあいいか、と歩いて下ってみることに。
が・・!
どこが・・・
遊歩道・・・
やねん!!!!!
関西人じゃないのに関西弁を繰り出してしまい、申し訳ありません。
普段、朝から晩まで机にかじりついている者としては、この道、全然遊歩道とは呼べない強度でした(笑)。普通に山道だった。
歩いている途中には、「実生(みしょう)」と呼ばれる野生のゆずの木にも出会うことができました。
地元のゆず玄人たちは、「市場に出回っているゆずは栽培には適しているけど、やっぱり香りは実生のゆずがピカいちだ」と口を揃えて言っていました。
残念ながら、市場にはこの実生のゆずはほとんど出回っていませんが、ごく稀に実生のゆずを使ったポン酢やゆず果汁などの加工品が販売していることがあります。たいていラベルに「実生」と書いてあるので、見つけたらぜひ購入してみて、香りの違いを楽しんでみてください。
そもそもゆずってどうやって収穫されてるの?山田さんのゆず畑で収穫を体験してみた
遊歩道でかなり体力を消耗した私が、次に大川さんに連れてこられたのがここ。ゆず畑です。
そう。私ここまで、さまざまなゆず加工品を見て、ゆずの村の魅力も探ってきたものの、そもそもゆずがどんな風に収穫されているかを知らない。というか見たことがない!!!
大川さん:
この旅の最後になりましたが、実際にゆずがどうやって収穫されているのか、見て、聞いて、実際に体験してみてください。そうすれば、ゆずへの理解がもっと深まるはずです。
坂口:
むむっ。そうですよね。さすが抜かりのないゆず案内っ。やはり大川さんはゆずの意思を正しく伝える者…「ゆずシャーマン」で間違いないのでは…!?
小芝居は置いておいて、こちらが本日ゆずの収穫方法を私に教えてくれる山田さんです。
山田さんは、ゆず農家であると同時に、高知家公式アイドル「爺-POP」のメンバーでもあるファンキーな紳士。
「美味しいゆずの見分け方は?」と尋ねると「青い実はみずみずしいけど酸っぱいし、黄色い実は美味しいけど水分が少ない。少女と大人の女性、それぞれに違った魅力があるのと同じことだよ。両方のいいとこ取りをするなら、黄色と青が混じった実を食べるといいんじゃないかな」とのことでした。かっこいいかよ。
ゆずの木にはするどい棘があるので、収穫のときはまずこのように、分厚いグローブをつけます。
あとは、色いたゆずをカットするだけ。
なのですが…
ゆずだけを切り取らずに、まずは枝ごとこのようにカット。
それから、実をハサミで傷つけないよう、刃先が触れないようにしながら枝を切り取る、という2段階を経て、慎重に収穫していくのがベストなのだそう。
教えられた通りにゆずを収穫することができました!
謎の声:
坂口、よくやった…これにてお主のゆず検定は終了、無事合格じゃ…。
坂口:
ん? この声は……
大川さん:
これで安心してお主を送り出せる…
坂口:
って大川さんやないかーい。
大川さん:
我輩はゆずである… 村の案内にはどうしても実体が必要だったものでな。ゆずの波動と近い波動を持つこの男に媒介になってもらったのじゃ。
坂口:
シャーマン…!
大川さん:
途中、辺鄙な場所に入ってもらったり、険しい山道を登ってもらったりしたが、あれもすべて、この土地の歴史とゆずのうんちくに詳しくなってもらうためだったのだ…。驚いたかもしれないが、どうだ、これでお主もすっかりゆずに詳しくなったであろう。
坂口:
はい! これで、ゆずがどのような歴史の元に誕生し、どのように収穫され、そして何に役立って、どんな魅力があるのか、まるっと理解できた気がします! 都会に帰ってもこの旅で学んだことを忘れず、人々にゆずのことを語り広めていきたいと思います!
大川さん:
ほっほっほ。お主も成長したのう。それではそろそろ我輩は行くとしようか…。
坂口:
ゆずさん、いったいどこへ行ってしまわれるのですか……まだ行かないでください! もっともっと話したいことが…たとえばこの収穫した大量のゆずをどうしたらいいのかとか……ゆずさん……ゆずさあああああああああああん!!!!!!!
▼ゆずの大量消費レシピにお困りの方はこの記事をご参考にどうぞw
【助けて高知の人】まるごとゆず果実、もらったもののどう使えばいいの?【#ゆず活】
こうして大川さんは夕方から始まる会議のために役場へ戻っていき、そして私は大量のゆずを持って馬路村・北川村をあとにしました。
いやあ、これからが旬のゆずの村で、たくさんのことを学ばせていただきました!
ゆずシャーマンに出会うのはなかなか難しいかもしれませんが、この村を訪れたなら、村のゆず玄人たちが、あなたをめくるめくゆずの世界へ誘ってくれるはず。
ぜひ、この旅で私が持ち帰った「#ゆず活」のケーススタディを学ぶだけでなく、実際に馬路・北川村を訪れ、あなたの目で、多種多様な「#ゆず活」を目撃してみてはいかがでしょうか?