ブドウの栽培から醸造まで、すべて高知県内で手がけた『オール高知県産ワイン』の醸造が今年も始まりました。
ブドウの栽培に適さないとされていた高知で2021年に生まれた、待望の“地ワイン”。醸造に成功したのは、石灰の製造・流通から研究・開発を手掛ける井上石灰工業を親会社にもつ「井上ワイナリー株式会社」(高知県香南市/代表取締役:井上 孝志、2016年設立、https://www.tosawine.com/)です。
最初にブドウ栽培を始めたのは、石灰が産出される山、香南市山北。温暖な高知県でのブドウ栽培は簡単ではありませんでした。試行錯誤を繰り返すこと、約10年。2021年秋、ようやく完全高知産ワインの醸造に成功したのです。
もともと、井上石灰工業( https://www.inoue-calcium.co.jp/ )は、石灰の需要が高まった明治初期の1884年に誕生。1920年には県下トップの施設を持つ石灰製造会社に成長しました。現在は、産業構造の変化により、建築土木、鉄鋼向けの需要が伸び悩む一方で、食品分野や、農薬製品、医療分野において高純度なカルシウム製品の供給を実現することにより、売上が伸び続けています。
そんな企業がワインの製造をすることで地域を支えています。
石灰といえば、名門ワインの産地・ブルゴーニュ地方の石灰土壌が世界的に知られてます。「高知には勝るとも劣らない石灰の土壌があるのだから、ワイン作りをすることで地域に新たな産業を創出し、恩返しができるのではないか」。「ブドウ栽培を通して耕作放棄地の活用や高齢者雇用を生み出せれば、地域農業を活性化することができるのではないか」。そんな思いから、ワイン造りがスタートしました。畑は香南市のほか、香美市や土佐町、梼原町など高知県内各地に広がり、いまでは県内5箇所の圃場で、メルローやシャルドネといった代表的なぶどう品種を育てています。
井上ワイナリーの圃場 https://www.inoue-winery.co.jp/vineyardmap.htm
2022年4月には、醸造所「のいち醸造所」(https://www.inoue-winery.co.jp/access.htm)をオープン。醸造所には、直売所とワインとつまみが楽しめる飲食スペースを併設。県内外からの観光誘客にも力を入れています。